都市ガス3社の決算を動かす「原料費調整制度」の読み方
東京ガス・大阪ガス・東邦ガスの利益が四半期で振れる主因は、需要ではなく制度にある
都市ガス各社の決算を見ていると、販売量がさほど変わっていないのに営業利益が大きく上下することがあります。この振れの主因の多くは、需要の増減ではなく「原料費調整制度」という料金の仕組みにあります。
1. 制度の仕組み
原料費調整制度は、LNG(液化天然ガス)など原料の輸入価格の変動を、数か月遅れでガス料金に反映させる制度です。原料価格が上昇する局面では、値上がり分がすぐには料金に転嫁されないため、ガス会社は一時的に利益を圧迫されます。逆に原料価格が下落・安定する局面では、以前の値上がり分の調整が遅れて反映されるため、見かけ上の利益が押し上げられることがあります。
出典:ガスの原料費調整制度について 資源エネルギー庁
2. なぜ決算の読み方に効くか
この制度がある以上、「今期は増益だった」という事実だけを見て、事業が伸びたと判断するのは早計です。増益の中身が①販売数量の増加(実需の伸び)によるものか、②原料費調整のタイムラグの反転(会計上のタイミング差)によるものか、を切り分けて読む必要があります。東京ガス・大阪ガス・東邦ガスはいずれも同じ制度の適用を受けますが、原料調達契約の価格改定タイミングや在庫の持ち方が異なるため、調整の効き方には差が出ます。
3. 業界研究の視点
就活や業界研究でこの業界を見る場合、決算短信の「増減要因」の説明箇所に必ず目を通す価値があります。原料費調整の影響額が明記されていることが多く、そこを読むだけで「実力」と「タイミング差」を分けて理解できます。
出典:各社決算短信の増減要因欄(TDnet 適時開示情報閲覧サービス)
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